観光都市ウィダーに訪れる外国人と地元民に高度な医療を提供し、安心して過ごせる病院を目指した。
アフリカ中西部ベナン共和国は、気温は40度近くになるが、首都ポルト・ノボや敷地のある観光都市ウィダーであっても電力供給が安定せず停電が頻発する。そこで病棟は空調なしでも快適に過ごせるよう、中庭を設けて風が抜けるような平面形状とし、その風が病室内にも届くように屋内の開口を設けた。また、アフリカの日差しを避けつつ停電時も明るい室内を保て快適な室内となるよう、庇と外壁の形状を決定した。これらの検討は、環境プログラムを使用したシミュレーションによって行った。
また、まだ国内には医学部や医科大学がなく、医療従事者数自体も不足がちであるため、雁行した病棟が中庭を囲む形状で、最小のスタッフで見守られるナースステーション、病室、共用部の配置とした。
全ての病室にトイレ・洗面・シャワーを完備した。小児科では親子一緒に寝られる大きめベッドを設置できるようトイレ洗面位置を工夫した。
家族を大切にするベナンの人たちが、小児以外の診療科でも家族と共に過ごせるように、全診療科でファミリースペースなども充実させた。患者と家族が一緒につかうキッチンも用意された。日本とは異なる医療と地域との交わりが期待される。
所 在 地:アフリカ・ベナン共和国
用 途:病院
延 べ 面 積:約36,000㎡(うち病棟150床、7,800㎡)
キーワード:病院・海外・アフリカ・鉄筋コンクリート構造