記事一覧

千駄ヶ谷
散歩-5
公衆トイレ

24/09/23

千駄ヶ谷
散歩-4
IBIS

24/09/18

千駄ヶ谷
散歩-3
S-Lattice

24/09/13

千駄ヶ谷
散歩-2
国立能楽堂

24/09/08

千駄ヶ谷
散歩-1
東京体育館

24/08/30

千駄ヶ谷散歩 その5 千駄ヶ谷のトイレ

Sendagaya no Toilet
24/09/23

 コンクリートの塊が千駄ヶ谷駅前に浮いている。
 第5回は公衆トイレ。建主は渋谷区。でもヴェンダースの映画『パーフェクト・デイズ』で有名になった渋谷区が建築家やデザイナーに発注したTHE TOKYO TOILETシリーズのひとつではないらしい。
 普段は、この大きな塊なんだろう。。。てなものだが、第1回で紹介した東京体育館の目の前にあり、イベント開催時には国立競技場駅出口との間に行列ができる。
 すぐにはトイレ待ちの行列とはわからないところがいい。
 中に入るとトップライトである程度の明るさもあり、板張りの仕上げや真鍮のサイン、そして暖色系のほのかな照明が公衆トイレとは思えないホテルライクな印象を与え、外観とよい意味でのギャップが楽しめる。

設計者 SUPPOSE DESIGN OFFICE
竣工    2020年
用途    公衆トイレ

Sendagaya
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千駄ヶ谷散歩 その4

IBIS Sendagaya
24/09/18


 下階は店舗、3階以上は住居になっている模様。
 すごく爽やかで、シャープな印象です。テラスのボリュームと居室のボリュームが交互に少しずつずれながら積み上げられることで、周辺建物との絶妙な距離を保ち、建物の隙間からしっかり空が見えます。空が見える理由はもう一つ、床をつくっているレベルのボリュームの外周が金属のルーバーでおおわれているため。もちろん手摺なわけですが、この断面寸法が絶妙なのだと思われます。
 プランニングは外からはわからないけれど、道路に面したエレベーター配置が割り切りよく、(もちろん綺麗につくられているためもあるけど)いい。いつか中に入ってみたい。

設計者 COMPAS
竣工 2021年
用途 併用住宅

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千駄ヶ谷散歩 その3 S-LATTICE

S-Lattice
24/09/13

 3回目はS-LATTICE(St VERMEER本社ビル)です。
 国立競技場南西、ビクタースタジオ北にあるビルです。
 ガラスにコンクリートのマスや架構が組み合わされ、外苑西通りへ軽やかさと若干の重厚感が同居する端正な顔を見せています。
 手前のガラスの筒はエレベーターで、上下するカゴが建物で働く人々の活力を感じさせます。
 仙寿院交差点には、写真左奥に見えている全く開口のないビクタースタジオ、昨年開園した都立明治公園、国立競技場と手前の庭という個性的な空間が集っていますが、時代の変遷とともに周囲が大きく変わっていっても、慎重にデザインされた外観だからこそ負けないし、悪目立ちもしない、S-LATTICEは都市の景観を素敵に更新し続けてくれる稀有なビルのひとつだと思います。
 それを支えているのは、ディテールの丁寧さ。建物の骨格・形状がしっかりしていて、ディテールまでしっかりデザインされている建物は何年経っても素晴らしいです。
 実はこのビル、平面的にL字型で、この写真からは見えない奥まった部分の外壁も個性的で、初めて前を通ったときは思わず近寄って接写してしまったほど。インスタの方に奥の外壁写真もあげたので、よかったら見てください。

設計者 WORKSHOP
竣工  1991年
用途  オフィス、ショールーム

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千駄ヶ谷散歩 その2 国立能楽堂

National Noh Theatre
24/09/8

 2回目は国立能楽堂です。
 千駄ヶ谷の住宅街を歩いていると、遠くから濃い緑の多い街区が目に入ります。窓が等間隔に並んだ外壁沿いに楠の並木の下をあるいて西側にまわりこみ、門をくぐると、国立能楽堂の正面入り口が見えます。少し反りのある屋根が、ただ事ではない感じに連なって、1つ1つの形の端正さと裏腹な迫力で、舞台のある奥のほうへ視線を誘導してくれます。設計者の大江宏氏は屋根の配置からまず設計していたという話が体感で理解できてしまいます。
 さて、あらためて外周の、街に面しているバックスペース側、事務室や楽屋も見てみると。楽屋の入口が事務室入口とは別にちゃんと設けられ、楽屋の窓に町が面しています。このおかげで、演者の世界と町は分断されていない印象をうけます。能楽舞台の神聖な空間は、その更に奥の別世界、ということになります。
 この楽屋のつくり方は近代的な劇場のものとは異なっています。近代的な劇場というのは、立地にもよりますが、楽屋入口すら目立たないように、演者ごとまるっとブラックボックスにいれて、別世界をつくります。でもこの能楽堂では、演者も事務員も観客も誰もが街や日常生活に属しているのだけど、そこから一緒に、別世界(能舞台)への体験をつくる、ということになります。国立能楽堂と街との関係は、ここでの能楽のありかたを示しているものだと感じました。

設計者 大江宏建築事務所
竣工 1983年
用途 劇場

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千駄ヶ谷散歩 その1 東京体育館

Tokyo Metropolitan Gymnasium
24/08/30

 これから数回、side by side, architects事務所のある千駄ヶ谷近辺の気になるスポットをご紹介できたらと思います。初回はJR千駄ヶ谷駅前の東京体育館です。
 改札を出ると左手に見えるこの体育館。明治神宮外苑・都市公園北西端に位置します。8月中旬、青空に映え、気温35度を超える暑さの中でも前面広場には人が行き交っていました。
 銀色に光る屋根がメカメカしくも見えますが、威圧感はありません。これは設計者である槇文彦氏が、駅側に広場を設け、入口のレベルを下げ、屋根も入口に向けて傾斜させて、建物がそそり立つような印象を与えず、明治神宮外苑という都市公園と調和するよう細心の注意を払った結果です。
 槇文彦氏が、新国立競技場計画に関して、周囲との調和、利用のされ方、建設時から竣工後も含めた経済性にまで提言を行い、それに説得力があったのは、この東京体育館の佇まいも大きな要因だったと思います。

設計:槇総合計画事務所
竣工:1990年
用途:体育館、プール

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